人工知能が雇用を脅かす?

 近い将来人工知能の進歩により、人に代わって家事や接客、運転等をこなすことのできるロボットの開発が進み、今後30年程度で世界の数千万件に及ぶ雇用が脅かされる事態に直面することになると、専門家が警鐘を鳴らしています。

 ライス大学(アメリカ)で情報技術を専門に研究するモシュ・バルディ氏は、アメリカ科学振興協会年次総会で行われた人工知能についてのパネルディスカッションで「こうしたことが実際に起きる前に、社会全体でこの問題と向き合う必要があると私は考える」と語りました。

 確かに産業分野ではロボットによる自動化で生産性の向上と引き替えに、雇用が失われた側面はあります。バルディ氏は、アメリカで製造業の求人が1980年をピークに減少し続け、それに伴って中間層の賃金も伸び悩みをみせているとしています。しかし、これは自動化も原因ですが、主な要因は人件費の問題で、生産拠点が発展途上国(特に中国)に移っているためです。

 工場を完全自動化しても、途上国の人件費の安さには対抗出来ず、生産拠点が発展途上国に移るケースは後を絶ちません。人間に変わって家事や介護、接客をするロボットが出来たとして、問題はそれが一体幾らするのかと言うこと。

 最近囲碁や将棋で、人間のプロ棋士を破る人工知能が登場して注目を集めてはいます。しかし人工知能だけは発達しても、動力源の問題もあります。恐らく動力は電気モーターが使用され、内燃機関を搭載するようなことはないでしょう。それが1回の充電で、何時間稼働できるのか?。

 いつかはそう言う時代が来るのかもしれませんが、人間の雇用を奪うような万能ロボットが20~30年の内に、しかも100~200万円で買える時代が来るのかどうかは疑問です。